聖徳学園高校訪問記

講師 豊田丈典 (理学系研究科地球惑星科学専攻 D1)

聖徳高校写真1

自己紹介をする講師の豊田さん

 
聖徳高校写真2

火星の話をする豊田さん

 
聖徳高校写真3

物理の魅力を語る講師の生出さん

 

私の母校は私立の中高一貫校です。私立の性質上、私が高校生の時にお世話になった多くの先生方が今も教鞭をとっていらっしゃいます。まだ若い頃の自分(今も十分若いですが!!)を育ててくれた先生方に成長した姿を見せようと、授業の準備は入念に行いました。

私は火星の表層環境についての研究を行っています。この分野の認知度は高く、科学雑誌や啓蒙書も豊富です。しかしながら、日本国内で実際に火星を研究している人の割合は、海外に比べて低いように思います。啓蒙書で簡単に読めるような話をするより、実際の研究の現場を感じてもらえるようにした方が高校生にとって面白いのではないかと考え、意識してプレゼンテーションを構成しました。誰がどうやって取ったものをデータとして使い、そのデータをどのように加工して解析するのか。また、惑星探査機がもたらす膨大なデータから何を根拠に目的のデータを選びだすのか。さらには、研究を遂行するにあたって具体的にどんな能力が必要なのか、といった内容を盛り込みました。生徒さん達に受け入れてもらえるかどうか心配でしたが、終了後のアンケートを見る限り、高校生にとっては新鮮に感じられたようです。また、生徒さん達が自分の進路の選択肢として研究の道を考える際には、今回のように具体的な話の方が役に立つのではないかとも思いました。

授業後のアンケートで「講師2人が非常に楽しそうだったので、自分もちょっと勉強してみようと思った。」というような感想が多かったのが印象的でした。なぜなら、私自身は授業中の自分の表情など気にもとめていなかった(話をするのに必死でした!!)からです。我々が好きな事に本気で取り組んでいる姿を見せれば、それこそが後輩達の意欲を向上させることになるのかもしれません。出張授業をやってみて、我々の「今の姿」を後輩に見せるということ自体に意味があるのだと考えるようになりました。