相模原高校訪問記
講師 尾形邦裕 (情報理工学系研究科知能機械情報学専攻 D2)
授業の様子
ロボットによるデモンストレーション
授業後の高校生との議論
学部1年生から修士2年までの6年間、塾の講師のアルバイトをして気が付いたことは、高校生は学校のテストや模擬試験の点数から自分の得手・不得手を決め付け、そこから進路を決めている生徒がいたことでした。しかし、進路とは自分がやりたいことに基づいて決めるべきであり、そのためには数学や物理が必要なら苦手なりにもそれを克服しなければならないはずです。今回の出張授業に参加したきっかけはそんな彼らに進路を決める1つの可能性を伝えたいという思いからでした。
更に、自分が専門としているロボット研究にもっと興味を持ってほしいということもありました。最近ではもの作り教室やジュニア向けのロボットの大会などでロボットの啓発活動が見られるものの、ロボット研究そのものに触れる機会はほとんどありません。彼らに知ってほしいことは、図画工作の延長線上のロボットではなく、数学や物理の理論に根ざしたロボット工学が極めて重要であるということです。そこで、プレゼンではロボット研究においてもの作りは一部に過ぎず、数学や物理が必要となる画像処理や運動生成なども紹介し、特に運動生成に関してより詳しく理解してもらえる工夫をしました。そのために、実際の人型ロボットを高校に持って行き、そこでロボットのデモンストレーションも行うことにしました。デモンストレーションでは実世界で動かすために必要なフィードバック制御を扱い、ここでは数学や物理が実際のロボットの運動に必要であると伝えることを目的としました。
授業当日は授業外ということで15名程度でしたが、任意参加ということでロボットに興味のある学生が文理を問わず参加してくれました。また、授業後に半分近くの学生が自分の周りに集まり、様々な質問をしてくれ、大変興味を持って参加してくれたことが伝わりました。アンケートには「 内容はそんなに難しくなくって、分かりやすかったです」、「自分の好きなサッカーとロボットができるロボカップにひかれました」とあり、内容に関して興味を持ってもらえたことがうかがえます。また、「 自分は理工学部志望なので苦手な英語をもっとがんばりたいです」という、今回のプレゼンから英語の必要性など勉強へのモチベーションを高めてもらえたようです。最後に「将来ロボット関係の仕事に就きたいと思っていますが、実際の就職先数などが気になった」とあり、大学の先の進路まで考えている生徒がいて、プレゼンをした自分自身も研究に対して真剣になることができました。