長野高等学校訪問記

講師 白川慶介 (理学系研究科地球惑星科学専攻 M2)

 

去る10月24日、母校である長野高校にて出張授業を行わせていただきました。高校を卒業して6年あまり、その間OB会などで何度か足を運ぶ機会もありましたが、今回の訪問では自分が教壇に立つ側。新鮮な緊張感とともに母校の門をくぐりました。今回は、理系分野に進学を希望している2年生の皆さんが聞いて下さるということで、その興味をさらに膨らませられるような授業を心がけました。

 

高校2年次の私は、といえば啓蒙書によって宇宙に興味を抱き、「大学にいって宇宙の勉強をするんだ!」と心に決めていた記憶があります。その一方で研究の最前線では、宇宙について何がどの程度わかっていて、具体的にどのように研究しているのかは全くといっていいほどわからず、なにかもやもやしたものを抱えながら過ごしていた気がします。その様な私自身の経験から、この授業では実際に大学院生が研究していることや、その研究の現場の雰囲気を少しでも伝えたいと思い、「多少難しくても、挑戦」を(陰の)テーマに掲げて、専門的な内容にも少し踏み込んだ授業を行ないました。宇宙という日常の感覚からは、かけ離れたスケールで起こる出来事を、物理を学び始めて間もない人にお話しする、という事は私自身にとっても大きな「挑戦」でありましたが、授業の準備を通じて新しい目線で自分の研究内容を見つめ直す事ができ、貴重な体験になりました。

 

授業後のアンケートでは、「難しかったけど、面白かった」といった感想から、授業で取り扱った宇宙プラズマに関する専門的な質問まで様々な感想・質問を頂き、喜びと同時に後輩の皆さんに頼もしさを感じました。この授業を通じて、自然科学に対して興味をもって頂き、不思議な現象の正体が「わかること」そのものの楽しさを感じて頂けたのであれば、理学に携わる人間としてこの上ない幸せです。

 

最後になりましたが、この授業を行なう機会を与えて下さいました長野高校の先生方、練習会を通じて様々なご支援を頂きましたBAPの皆様に感謝申し上げます。そして、この授業を聴いて下さった後輩の皆様の感想が、またさらに研究を続けようという励みになっていることを、何よりも感謝しています。