天草高校訪問記
講師 中島和歌子 (人文社会系研究科基礎文化研究専攻 D2)
「迷宮」のかたちを描いてもらいました
宗教とかたちの関係についても紹介
私は昨年度からBAPに参加しており、母校の中学で出張授業を実施させていただくことができました。
(2009年11月19日実施 私立学習院女子中等科訪問記)
そして今回は、熊本県立天草高校で出張授業をされる久保田さんのお手伝いとして(高校の担当の先生のほうから、進路指導の一環として、できたら文系の人にも話をしてもらいたいというリクエストをいただいたために)初めて熊本県を訪問することになりました。
BAPの活動の基本的な趣旨は、大学院生が母校で出張授業を行うというものです。そのため、生まれも育ちも東京の私にとって、熊本県で出張授業をさせていただくことはひとつの挑戦でもありました。そのため、出張授業の準備の際には、ただ自分が進めている研究のことを紹介したり、大学院についての話をするだけではなく、せっかくの機会なので「天草という土地にお邪魔する」ということを意識して内容を練ることに注意しました。私は専門分野が宗教学ということもあり、天草が歴史的にキリシタン文化の影響が強い土地であるということを念頭に入れつつ、当日の授業では天草高校の校歌の歌詞なども身近な題材として使用しながら「宗教学とはどんな学問か?」「宗教について考えてみよう」というイントロダクションを行いました。
後半では、研究対象にしている渦巻・螺旋状紋様の中でも非常に特徴的なかたちである「迷宮(labyrinth)」と現代の宗教性について紹介をしました。その際、迷宮の描き方をレクチャーし、授業に参加した生徒さんにも迷宮を作る体験をしていただきましたが、実際に体を動かしてみたことで、かたちの面白さをより深く感じてもらえたという手応えがあったように思います(担当の先生からもご好評をいただいた点でした)。
授業の最後は、興味を持ったことを追求することの大切さを強調し、高校時代には様々なことを通じて関心を広げていくことが重要というメッセージで締めくくりました。疑問や興味を持ったことを大学院で研究するという選択肢を提案すること、その道の面白さを紹介すること、この二点が出張授業に求められている大きな役割なのではないかと思っていますが、アンケートを拝見したところ、そうした目標はどうやら果たせたように感じました。今回の出張授業の経験が、生徒の皆さんがそれぞれ将来を切り開いていくときの力に少しでもなれば、これ以上に嬉しいことはありません。
今回の出張授業実施にあたって、天草高校の先生方には本当にお世話になりました。見知らぬ土地だった天草にすっかり魅せられ、母校がもうひとつできたかのような幸せな滞在をさせていただくことができたのは、このような貴重な機会を下さいました先生方のおかげだと感謝しております。この場をお借りして、改めて、天草高校の先生方、参加して下さった生徒の皆様、お世話になった天草の方々にお礼を申し上げたいと思います。どうもありがとうございます!
最後になりましたが、久保田さんには素敵なご縁をいただいたこと、またBAPの皆様には練習会でのアドバイス・貴重なご意見などでサポートしていただいたこと、それぞれ感謝しております。どうもありがとうございました。